TAKE MEDICINE この世界で誰が正常でいられると?
他人から見たら狂っているとしか思えない舞香を目の前にして、わたしは幾分か落ち着いていた。
落ち着いていたというよりも、呆然としてしまい、何も考えられずにいた。
そんなとき理性がわたしに語りかける。

止めなくちゃ、危ない。

いくら小さな破片といってもそれは刃物。
そして人を殺せる凶器。

思うと同時に、わたしは行動に移していた。
破片を振り回す舞香に躊躇せずに近付き、破片を持っている右手の手首掴もうとした。
だけど舞香が簡単に捕まってくれるわけなく。

「いたっ……」

少し油断をしたのがいけないのか、突然わたしの人差し指に鈍い痛みが走った。
そんな大したことではないのだけど、指は神経が集まっているので少しの傷でも痛い。
小さな傷口から、どんどんと広がっていく赤い点。

「あっ……」

それに気付いたのか、舞香の行動が一瞬だけ止まった。
わたしはその隙を見逃さず、その瞬間舞香の手首を掴んだ。
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