TAKE MEDICINE この世界で誰が正常でいられると?
「舞香。やめて。こんな物騒なもの振り回してたら、誰かが傷付いちゃうよ」
自分でも驚くほどの冷静な物腰だった。
そんなわたしの言葉を聞いているのか聞いていないのか、舞香は俯いて一言も発さない。
そんなとき、からんと乾いた音がした。
ふと下を見ると、そこには少量の血がついた破片が落ちていた。
そして次は横から弱々しい嗚咽が聞こえてきた。
「だって……わたし……」
ぐすん、と鼻をすする音を聞きながら、わたしは体育館全体を一瞥した。
遠くの方で無表情の桧野がこちらを見つめている。
「もう……やだ……あっ……う、あ……」
視線を桧野から舞香に移した瞬間、舞香は言葉にならない言葉を涙と共に零しながら、その場に座り込んでしまった。
今日は情緒不安定になってしまう日なのだろうか。
桧野といい、舞香といい。
まあ、これで少しはすっきりするのならば喜んで胸を貸すけれど。
わたしはそんなことを思いながら、舞香と同じ目線の高さまで屈むと、舞香の背中を擦ってやった。
舞香の背中は小さくて、震えていて、だけど確かに温もりがあって。
生きているんだなぁ、と実感することができた。
自分でも驚くほどの冷静な物腰だった。
そんなわたしの言葉を聞いているのか聞いていないのか、舞香は俯いて一言も発さない。
そんなとき、からんと乾いた音がした。
ふと下を見ると、そこには少量の血がついた破片が落ちていた。
そして次は横から弱々しい嗚咽が聞こえてきた。
「だって……わたし……」
ぐすん、と鼻をすする音を聞きながら、わたしは体育館全体を一瞥した。
遠くの方で無表情の桧野がこちらを見つめている。
「もう……やだ……あっ……う、あ……」
視線を桧野から舞香に移した瞬間、舞香は言葉にならない言葉を涙と共に零しながら、その場に座り込んでしまった。
今日は情緒不安定になってしまう日なのだろうか。
桧野といい、舞香といい。
まあ、これで少しはすっきりするのならば喜んで胸を貸すけれど。
わたしはそんなことを思いながら、舞香と同じ目線の高さまで屈むと、舞香の背中を擦ってやった。
舞香の背中は小さくて、震えていて、だけど確かに温もりがあって。
生きているんだなぁ、と実感することができた。