TAKE MEDICINE この世界で誰が正常でいられると?
「昨日からずっと苛々してたんだ。夜も眠れなくて。マイナスなことしか考えられなかった。けど……なんか、すっきりした」

ほうっと高屋くんが溜め息をついた。
そういえば高屋くんは昨日からずっと寝っぱなしだった気がする。
ただ杉村が指名をするときだけ、起き上がって、毛布を体に巻きつけて震えていた。

「お前はずっと元気だかよな。羨ましいよ。昨日も、色々と頑張っていたみたいじゃん?」

そんな知ったような口調に、わたしは途轍もない羞恥心を覚えた。

「な、なんだ、高屋くん正常だったじゃないの。だったらフォローくらいしてよねっ」
「そのときは狂っていたさ。遠目であんたのことを見ていたけど」

わたしの動揺っぷりを笑いながら、高屋くんが答える。

久しぶりの会話だ。
舞香と桧野以外の人との。

なんだか新鮮。

わたしはすうっと息を吸った。
体の中が清々しい。
空気の入れ替えをしたように、気持ちがいい。
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