TAKE MEDICINE この世界で誰が正常でいられると?
しばらくして、暗い顔をした叔母さんがこちらに寄ってきた。
叔母さんはわたしの隣に腰掛けると、神妙な声で呟いた。

「更沙ちゃん、聞いたわよ。帰る途中、……交通事故に遭ったんですって? あなたはトイレに行っていたから助かっていたけれど……」

はあ? 叔母さん、それ、違うよ。

そう否定しようとしたのだが、食いと叔母さんが私の事を抱き寄せたもので、言葉を言うことができなかった。
叔母さんの腕の中に、わたしはすっぽりとおさまってしまった。

「不謹慎かもしれないけど、あなたが生きていてくれてよかった……!」

悲痛な声が、耳元で聞こえる。
くぐもっている。
泣いているのだろうか。

だらりと垂らしていただけだった両腕を、しっかりと叔母さんの背中に回した。

この体勢は、どうしても舞香や桧野を思い出してしまう。

自分が無力だと嘆いた桧野。
死んだ方が楽だと虚ろな目で呟いた舞香。

わたしは自分よりも弱くなってしまった二人を抱き締めた。
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