TAKE MEDICINE この世界で誰が正常でいられると?
叔母さんが、再びわたしを抱き締めた。
背中にまわされた手から、ぬくもりが伝わる。

「分かってあげられなくてごめんなさい。わたしはいつも未熟だわ。いつも、いつも更沙ちゃんを理解してあげられない」

涙声で、叔母さんが言った。
ごめんなさい、と何度も呟く。

「叔母さん……謝らないでよ」

なにも悪くないのに。
むしろそこまで察してくれて、わたしは嬉しいよ。

「二年前……あなたを預かってから、わたしはあなたの母親として未熟だったわ。その証拠として、あなたはわたしのことを本当のお母さんのように見てくれなかった」
「そ、そんなことない!」

思わずそう返してしまったけど、叔母さんの言っていることは事実だった。

わたしを預かってくれる、優しい母の妹。
母ではなく、家族でもなく、だけど上辺では親子。
だってお母さんは、わたしにとってたった一人、あの人しか有り得ないのだから。

「更紗ちゃんの嘘吐き。わたしは二年間もあなたのことを見ているのよ。嘘か本当か、それくらい見抜けるわ」

くす、と笑いを漏らしながら、叔母さんが言う。
だけどすぐに表情はかげる。
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