TAKE MEDICINE この世界で誰が正常でいられると?
それから数分後、ばらばらとクラスメートたちが起き上がり始めた。
自分が置かれている状況を知り、泣き始める者や叫び始める者もいた。
まあ、この状態で正常でいられる方がおかしいのかもしれない。
それを言ってしまえば舞香はとても異常なのだが。

「おい! お前ら、無事か?」

そんなとき大きくて図太い声が体育館をこだました。
一瞬にしてざわめきが消え、みんなの視線はその声の持ち主に集中した。

「怪我している奴はいないか?」

その声の持ち主は、手を縛られながらでもわたしたちのことを一番に考えてくれている、わたしたちクラスの担任の先生だった。
まだ若くて経験も浅いけれど、他の先生たちとは違ってわたしたちのことをよく知ろうとしてくれた。
改めて先生の真面目さを実感する。
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