TAKE MEDICINE この世界で誰が正常でいられると?
「そうだ! ここ体育館でしょ? 窓とかたくさんあるじゃん。普通に逃げられないの?」

どこからかそんな声が湧いた。
それはとても勇気付けてくれる言葉だった。
みんなが口々にやった! などの感嘆の声をあげ、嬉しそうに微笑んだ。

だがその期待を裏切るかのような、冷たい先生の声が聞こえた。

「さっき確認したが、全て板を打ち付けられている。出口は入り口のみだ」

そう言って先生は入り口を睨み付けた
入り口のドアは閉まっていて、だけど鍵なんてものはついていないので、簡単に開けられる。
だけど開けるなんてそんな勇気、誰が持っているものか。

「そうだ! 携帯で警察とか家に連絡しようよ! 圏外ってことはまずないでしょ?」

次にまた声があがった。
わたしはその言葉に、自分がポケットの中に携帯をいれておいたことに気付き、ポケットを弄った。

先生が真ん中で、携帯は学校に持ってきちゃいけないはずなんだが、と飽きれたように呟いていた。
だけどこんなところで役に立つんだ。
持ってきてはいけないという校則はなくすべき、とわたしは先生に笑いかけた。
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