TAKE MEDICINE この世界で誰が正常でいられると?
「ああ、それはまた食事が終わってからお話しますよ」

その言葉と同時に、入り口からお盆を持ったスーツ集団が入ってきた。
わたしたちはいきなりのことに驚き、恐怖から互いに身を寄せ合った。

「なに、そんなに怖がることはありませんよ。あなたたちには健康でいてもらわなくてはこちらとしても困りますからね。粗末なものですが、腹もへったことでしょう」

健康でいてもらわなくては困るなて、まるでヘンゼルとグレーテルみたいだとわたしは体を震わせた。

「わたしは三十分ほどしたら来ますので」

杉村はそう残して、体育館を出て行ってしまった。
スーツ集団も体育館の床にお盆を置くと、杉村と一緒に出て行った。

わたしは無防備に置かれたお盆を恐る恐る覗き込んだ。
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