TAKE MEDICINE この世界で誰が正常でいられると?
「昨日の朝も言いましたよね。わたしたちは様々な種類の薬を発明していますが、それらの薬を世に送り出すために、皆さんに手伝っていただきたいのです、と。覚えていますか?」

昨日の朝……ということは、眠らされている間に一日が経ってしまったんだ。
わたしはその驚きばかりで、杉村の話していることはあまり頭に入ってこなかった。

「その言葉のとおりです。わたしたちが発明した薬の実験台となっていただきたいのです。お国のために、いや……世界のために」

ふふ、と不敵な笑みを浮かべる杉村が、一瞬だけものすごく怖かった。

「それではぱぱっと説明しちゃいますね。総員二十八名ということなので、一日四人ペースでいきましょう。そうすれば七日で終わることができます」

何の説明かよく分からなかったが、なぜか聞かなくてはいけないと感じた。
そんなとき、真剣な空気を打ち破るかのような大きな声が聞こえた。

「はいはーい。終わったら、家に帰れるんですか?」

まるで先生に質問するかのような口調で聞くのは、桧野だった。
< 32 / 213 >

この作品をシェア

pagetop