TAKE MEDICINE この世界で誰が正常でいられると?
間仕切り越しに聞こえてくる悲痛な悲鳴。
わたしは耳を塞ぎたい衝動に駆られた。

「やめろ! お前、ちょっと、やめろ……! 犯罪だぞ、おいっ!」

きりきりと胸が痛む。
この声ほどわたしを沈鬱にさせるものはない。

わたしたちはただ呆然とその場に座り込んでいた。
何もできなく、ただのその光景を目の辺りにして震えていた。

できることならその間仕切りを取っ払って先生を助けてこの場所から逃げたい。
だけどそれは無理なんだと、わたしたちはちゃんと理解している。

ああ。憂鬱だ。
払えきれないほどの重苦しい感情が自分の中を廻る、廻る。
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