TAKE MEDICINE この世界で誰が正常でいられると?
「……夢ならよかったのに」
思い出したところで盛大な溜め息をつく。
こんな現実など、見たくはない。
さっきのようになぜこいつらはいるのだと驚いてふためいている方がよっぽど幸せだった。
だけど長い時間――正確に時間はわからなかったけれど、長い時間眠った気がする――眠ったおかげか、気持ち的には随分リラックスできていた。
「あんれぇ……どうして更沙が舞香の家にいるの」
わたしがそう肩を落としていると、舞香がまだ寝起きの声でそう言った。
とろんとした眠そうな目で不思議そうに見てくる。
「ここは舞香の家じゃないよ。体育館だよ。ほら、思い出して?」
わたしはまるで幼児に話しかけるかのような口調で舞香に言う。
すると一瞬で舞香の顔付きが厳しくなった。
きっと思い出したのであろう。昨日のことを。
「やだな。夢だと思ってたのに、思い出させないでよ」
「それはこっちの台詞。わたしだって昨日のことが夢ならどんなによかったことか」
わたしは大袈裟に言ってみせた。
そんなわたしに大きな声で舞香が笑う。
純粋な気持ちで臨むいつものような会話。
他愛のない戯れ。
わたしはいつものような時間が訪れたことに、安堵の溜め息をついた。
思い出したところで盛大な溜め息をつく。
こんな現実など、見たくはない。
さっきのようになぜこいつらはいるのだと驚いてふためいている方がよっぽど幸せだった。
だけど長い時間――正確に時間はわからなかったけれど、長い時間眠った気がする――眠ったおかげか、気持ち的には随分リラックスできていた。
「あんれぇ……どうして更沙が舞香の家にいるの」
わたしがそう肩を落としていると、舞香がまだ寝起きの声でそう言った。
とろんとした眠そうな目で不思議そうに見てくる。
「ここは舞香の家じゃないよ。体育館だよ。ほら、思い出して?」
わたしはまるで幼児に話しかけるかのような口調で舞香に言う。
すると一瞬で舞香の顔付きが厳しくなった。
きっと思い出したのであろう。昨日のことを。
「やだな。夢だと思ってたのに、思い出させないでよ」
「それはこっちの台詞。わたしだって昨日のことが夢ならどんなによかったことか」
わたしは大袈裟に言ってみせた。
そんなわたしに大きな声で舞香が笑う。
純粋な気持ちで臨むいつものような会話。
他愛のない戯れ。
わたしはいつものような時間が訪れたことに、安堵の溜め息をついた。