TAKE MEDICINE この世界で誰が正常でいられると?
分かっているはずだ。
名前を呼ばれたら、バラックに行ったら最後だと。
【絶対に死ぬなんて決められていない】なんてことは有り得ないと。

それなのに、なんで怖くないの?
もうすぐで死に直面するというのに、震えもせずにいられるの?

するとミヅキの歩く足がぴたりととまった。
叫んだ効果はあったと、心の底で安堵の溜め息をついた。

「あたし、自殺願望者なんだ」

ミヅキはくるりと振り返って、寂しそうな笑顔でそう言った。
わたしはまるで大きな石で頭を殴られたかのような衝撃を受けた。

くらくらとその場に崩れて、バラックへと姿を消すミヅキの姿を乱れた髪の間から見る。
躊躇いもなく、震えもせず、ミヅキはバラックへと入っていった。
その事実は最後にミヅキが告げた「自殺願望者」という言葉とリンクしていて、わたしを更に虚しくさせた。

わたしの叫んだ言葉は虚しく体育館を漂う。
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