TAKE MEDICINE この世界で誰が正常でいられると?
そんなわたしの肩に、温かい何かが触れる。
「有咲さんね、小学生のころいじめにあってたらしいんだ。それ以来人間を信じることができなくなって、生きるのがいやになって。何度も自殺を図ったらしいの。だけど全て未遂に終わって、今はリストカッター」
振り向くと、そこには珍しく真面目な顔をした舞香が立っていた。
舞香はわたしと目が合うと悲しそうに微笑んで、言葉を続けた。
「中学にあがっても有咲さんは変わらなくて、この子はどうしようもないってことで三年四組に来たんだけどね。
彼女にとっては生きるのは苦痛で、死は憧れだった。だけど自殺をしようとすれば本能が拒否して。だからリストカッターなの。
更沙はそんな彼女を惹き付けた。わたしもいつも思うけど、更沙はとっても幸せそうに笑うの。こっちまで嬉しくなっちゃうほど。そんな更沙を見て、有咲さんは生きる喜びを教えられたんじゃないのかな」
舞香の手がその場に泣き崩れていたわたしの体を包む。
簡単に言ってしまえば、後ろから抱きつかれたのだ。
全体にじわじわと広まっていく人の温かさに、わたしの涙腺が再び緩んだ。
「少しの間だけど、更沙は有咲さんに幸せを与えたんだよ。それってすごいことだと思う。だからそんなに泣かないで」
あとどれくらい流れたら気が済むのだろうと思うほどの涙の量。
制服で拭っても拭っても、ぽろぽろとわたしの頬を伝って、床に涙の水溜りをつくっていく。
「……お願い、舞香。お願いだから」
わたしは体を捻って、舞香の胸に顔を埋めた。
舞香は無言でわたしの体をぎゅっと抱き、自分の体に押し付けるようにした。
「有咲さんね、小学生のころいじめにあってたらしいんだ。それ以来人間を信じることができなくなって、生きるのがいやになって。何度も自殺を図ったらしいの。だけど全て未遂に終わって、今はリストカッター」
振り向くと、そこには珍しく真面目な顔をした舞香が立っていた。
舞香はわたしと目が合うと悲しそうに微笑んで、言葉を続けた。
「中学にあがっても有咲さんは変わらなくて、この子はどうしようもないってことで三年四組に来たんだけどね。
彼女にとっては生きるのは苦痛で、死は憧れだった。だけど自殺をしようとすれば本能が拒否して。だからリストカッターなの。
更沙はそんな彼女を惹き付けた。わたしもいつも思うけど、更沙はとっても幸せそうに笑うの。こっちまで嬉しくなっちゃうほど。そんな更沙を見て、有咲さんは生きる喜びを教えられたんじゃないのかな」
舞香の手がその場に泣き崩れていたわたしの体を包む。
簡単に言ってしまえば、後ろから抱きつかれたのだ。
全体にじわじわと広まっていく人の温かさに、わたしの涙腺が再び緩んだ。
「少しの間だけど、更沙は有咲さんに幸せを与えたんだよ。それってすごいことだと思う。だからそんなに泣かないで」
あとどれくらい流れたら気が済むのだろうと思うほどの涙の量。
制服で拭っても拭っても、ぽろぽろとわたしの頬を伝って、床に涙の水溜りをつくっていく。
「……お願い、舞香。お願いだから」
わたしは体を捻って、舞香の胸に顔を埋めた。
舞香は無言でわたしの体をぎゅっと抱き、自分の体に押し付けるようにした。