TAKE MEDICINE この世界で誰が正常でいられると?
わたしはまともに舞香を直視できずに、まだ口をつけていないパンと見つめ合っていた。
泣き付いてしまった。
どこにも行かないでなんて稚拙な台詞を吐いてしまった。
今まで築き上げてきた「冷静」という性格が、その行為によって無になってしまったのだ。
それは悔しくて恥じらうべきことだとわたしは思うのだが、すっきりしたと思うわたしがどこかにいた。
今まで独りで生きてきた。
誰にも本性を見せずに生きてきた。
本当の自分を知ってほしいという欲求と、知られたらみんなわたしから離れていってしまうのではないかという恐怖がぶつかりあう。
今もまた、心は乱れに乱れて、何が正しいのか分からなく、困っている。
そんなとき、突然舞香の顔が頭に浮かんだ。
悲なしみ溢れた瞳で、わたしを捉える舞香。
そうだ、とわたしはハッとして顔をあげた。
昨日舞香と喧嘩したじゃないか。
そしてまだ謝ることすらできていないじゃないか。
わたしはパンに貪りつく舞香のほうをゆっくりと見た。
そしてゆっくりと呟く。
「……ごめん」
不思議そうにこちらを見る舞香は、あのときとは打って変わって穏やかで。
だけど思い出す。鮮明に思い出される昨日の記憶。
わたしの暴言に、悲しそうな瞳。募る苛々に、溢れ積もる自己嫌悪。
泣き付いてしまった。
どこにも行かないでなんて稚拙な台詞を吐いてしまった。
今まで築き上げてきた「冷静」という性格が、その行為によって無になってしまったのだ。
それは悔しくて恥じらうべきことだとわたしは思うのだが、すっきりしたと思うわたしがどこかにいた。
今まで独りで生きてきた。
誰にも本性を見せずに生きてきた。
本当の自分を知ってほしいという欲求と、知られたらみんなわたしから離れていってしまうのではないかという恐怖がぶつかりあう。
今もまた、心は乱れに乱れて、何が正しいのか分からなく、困っている。
そんなとき、突然舞香の顔が頭に浮かんだ。
悲なしみ溢れた瞳で、わたしを捉える舞香。
そうだ、とわたしはハッとして顔をあげた。
昨日舞香と喧嘩したじゃないか。
そしてまだ謝ることすらできていないじゃないか。
わたしはパンに貪りつく舞香のほうをゆっくりと見た。
そしてゆっくりと呟く。
「……ごめん」
不思議そうにこちらを見る舞香は、あのときとは打って変わって穏やかで。
だけど思い出す。鮮明に思い出される昨日の記憶。
わたしの暴言に、悲しそうな瞳。募る苛々に、溢れ積もる自己嫌悪。