TAKE MEDICINE この世界で誰が正常でいられると?
「え?」
「ほら、あの……昨日、ひどいこと言っちゃったから……」
とぼけたように訊ねてくる舞香に、わたしは俯きながらそう言った。
勢いとはいえ、衝動とはいえ、ひどいことを言った事実には変わりない。
わたしは思い出すだけで嫌気が差す言葉を並べてしまった。
鬱陶しい。うざい。浮いている。ばかみたい。
誰だって傷付くような言葉を羅列させて。
存在を端から否定して。
泣きそうになっているのに構わず叫んだ。
その瞬間、わたしは度肝を抜かれてしまった。
ああ、とわたしの言葉に笑顔で頷く舞香。
どうして彼女は笑っているのだろう、とわたしは口をぽかんと開けて真っ先に思った。
「いいよ、別に。気にしないで」
さらりと答える彼女に、わたしはえっと驚きの声をあげた。
元々舞香はこういうタイプであったが、ここまでいってしまうと人間とは思えない。
わたしのしたことはこんなあっさりと許される行為ではないのだ。
驚くわたしに、舞香が静かに微笑む。
「後から冷静になって考えてみたんだけどさ、仕方のないことだよね。不安だもんね。もうすぐ死ぬなんて考えたら誰でも怖くなるし、苛々するよ。わたしだってそう。わたしの態度がアレだったから更沙が爆発しちゃっただけでしょ? 吐き出した方がらくだと思うし、うん、あれは事故だって考えることにしよう」
どうしてこんなにも心が広いんだろう。
どうしてそうやって包み込めるのだろう。
どうしてそこまで優しいのだろう。
「ほら、あの……昨日、ひどいこと言っちゃったから……」
とぼけたように訊ねてくる舞香に、わたしは俯きながらそう言った。
勢いとはいえ、衝動とはいえ、ひどいことを言った事実には変わりない。
わたしは思い出すだけで嫌気が差す言葉を並べてしまった。
鬱陶しい。うざい。浮いている。ばかみたい。
誰だって傷付くような言葉を羅列させて。
存在を端から否定して。
泣きそうになっているのに構わず叫んだ。
その瞬間、わたしは度肝を抜かれてしまった。
ああ、とわたしの言葉に笑顔で頷く舞香。
どうして彼女は笑っているのだろう、とわたしは口をぽかんと開けて真っ先に思った。
「いいよ、別に。気にしないで」
さらりと答える彼女に、わたしはえっと驚きの声をあげた。
元々舞香はこういうタイプであったが、ここまでいってしまうと人間とは思えない。
わたしのしたことはこんなあっさりと許される行為ではないのだ。
驚くわたしに、舞香が静かに微笑む。
「後から冷静になって考えてみたんだけどさ、仕方のないことだよね。不安だもんね。もうすぐ死ぬなんて考えたら誰でも怖くなるし、苛々するよ。わたしだってそう。わたしの態度がアレだったから更沙が爆発しちゃっただけでしょ? 吐き出した方がらくだと思うし、うん、あれは事故だって考えることにしよう」
どうしてこんなにも心が広いんだろう。
どうしてそうやって包み込めるのだろう。
どうしてそこまで優しいのだろう。