LAST EDEN‐楽園のこども‐
死のう。


両手を上げて縁を掴むと、ミウはゆっくりと足を上げる。


死んで、鳥になろう。


そして、痛む腕に力を込めて体を持ち上げたとき、ミウは空の遠くで顔を出し始めた夕日に、小さな祈りを捧げた。


もう、二度と生まれてきませんように。


ミウの両親が聞いたら、どんなに悲しむセリフだろう。


かけがえのない愛情を注いできた大切な娘が、このような気持ちを抱えたまま死んで行くとしたら、彼らはどれだけ辛いだろう。


けれど、ミウの枯れ果てた心には、そんなことすら押しとどまる理由にはならない。


―――――あたしはもう、生きていたくありません。


縁に両足を乗せ、そう心の中で呟くと、ミウは曲げていた膝を静かに伸ばした。
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