LAST EDEN‐楽園のこども‐
「あっ!」


ミウの腕が手すりから完全に離れる、まさに寸前。


三神は羽交い絞めにするようにミウの体を後ろから抱きしめると、そのまま両腕を引いて、ミウの全身を持ち上げる。


それはまさに、瞬時の出来事。


抗う余地もなく宙に浮く感覚に、ミウは自分の体が羽のように軽くなった気がした。


ミウの両足が水面ではなく、固いアスファルトに触れたとき。


残りのメンバーは皆、それぞれ安堵の表情を浮かべ、大きく深呼吸する。


「お手柄」


頼知が労うように声をかける。


三神は苦笑を浮かべると、6人に視線を促した。


その場にうずくまり、しばし放心状態にあるミウに何と声をかければいいのか、神経の細やかな彼でもわからなかったのである。


三神の困ったような視線を受けて、和樹が前に出る。


女友達も多く、相談に乗ることも多い彼は、この中では自分が一番適任だと思ったのである。
< 108 / 134 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop