LAST EDEN‐楽園のこども‐
「佐伯」


その様子を見かねたように、頼知が口をはさんだ。


「追いつめるのは、よくないぜ」


佐伯は首を横に振る。


「追いつめているのではありません」


「でもさぁ」


二人の会話に和樹が口をはさむ。


「その言い方は、彼女はきっと辛いと思う」


そしてチラッとミウを一瞥すると、和樹は含みのある視線を頼知に向けた。


こういうとき、本来なら龍堂に進言を求めるのが道理というものだろう。


だが、一刀両断の彼の性格を知っているメンバーは、ここぞとばかりに龍堂の存在を無視する。


弱さを嫌う龍堂に任せたら、彼女は再び身を投げようとするに決まっていたからである。


それは、何が何でもまずい。


「お前の出番だろ」


頼知に耳打ちすると、和樹はそれから真斗の頭にポンポンと手を置いた。


「ここは頼知に任せようぜ」


「先輩……」


「んな顔すんなって」


泣きそうな顔をした真斗の肩を抱き寄せると、和樹はミウに再び視線を戻す。


声を殺して嗚咽を繰り返す姿は、直視するのも辛い。


「あの子はきっと、泣きたくても泣けなかったんだ」


苦しげに顔を背ける和樹の言葉に、真斗の胸の奥がズキッと音を立てる。


「あ……」
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