LAST EDEN‐楽園のこども‐
真斗はそのとき、佐伯の言葉の理由を、何となく理解できたような気がした。


確かに佐伯は、三神が怒り、頼知が苦言を呈するような言い方でミウに冷たくしたかもしれない。


しかしそれは、佐伯の最大限の優しさだと皆知っていた。


傷口に直接切り込むことで、想いを抱え込んで袋小路になっていたミウのはけ口を作ってやったのだということを、そしてその適任者が佐伯しかいないことを、仲間である彼らはわかっていたのである。


沈着冷静、そして切れ者。


融通の利かない龍堂をサポートし、生徒会を円滑に回している影のフィクサー、佐伯悠仁。


歴代の生徒会の中でも特に優秀と言われるゆえんは、佐伯が副会長の職に就いていることが大きな理由ではないかと考えている教師も少なくはない。


勿論、彼の言葉数が少なく、言い方に容赦がないことも、誤解を招く要因ではあるのだが。
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