LAST EDEN‐楽園のこども‐
「あ」


「あー」


「あー!!」


「あれは……」


事前に打ち合わせたかのように同様の反応を返した彼らは、同時に同じ少女の名前を口にする。


「雨宮……」


「涼ちゃん!」


「誰でしたっけ」


ムスッとした龍堂の視線の先にいたのは、数人に取り囲まれて、今まさに一悶着始めようとしている雨宮涼、その人であった。


勿論、涼の名前を口にした人間たちは皆、なぜ知っているのかと言わんばかりの形相で、互いを見つめあう。


しかし龍堂だけは、実に不愉快だと言わんばかりに大きく息を吐くと、聞こえるか聞こえないかの小さな声で、静かに呟いた。


「闘っている方向は、まったく逆だがな」
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