LAST EDEN‐楽園のこども‐
わ、またやっつけた。


顔を覆った指の隙間からその様子を観察していた真斗は、いかにも場慣れしている二人の貫禄に、ふと首を傾げる。


どんな人生を歩んでいれば、他人を殴ることに慣れた人間になるのだろう。


どんな生き方を選べば、こんな喧嘩に巻き込まれる場面に遭遇するのだろう。


二人を呆けたように眺めながら、真斗は涼の生き様を想像して、胸が痛んだ。


普通の少女なら経験せずにすむような道を突き進んでいる涼が、可哀想でたまらなかった。


俺が守ってあげるのに―――――。


そう言われる方が涼は辛いということを、無論真斗はまだ知らないのだが。
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