LAST EDEN‐楽園のこども‐
「お前ら……」


ミウの霰(あられ)もない姿を目にした涼は、その瞳に激しい怒りを漲(みなぎ)らせながら、低く唸るように呟く。


「退屈してんなら、今ここで相手になってやってもいいんだぜ」


指をポキポキ鳴らしながら近づいてくる涼に、三神が慌てて声を上げた。


「わー、違う違う!!」


三神は、額に冷や汗をかきながら両手を振る。


「断じて誤解だ、断じて!!」


その様子に、龍堂が呆れたように腕を組んで佐伯を見る。


「何を慌ててるんだあいつは」


「……どうやら、私たちが彼女を集団暴行したと思われているようですよ」


「は?」


「まぁ、無理もありませんが」


でも、誤解されると面倒ですね。


第一、釈然としませんし。


そう言って佐伯が一歩前に身を乗り出したとき、彼より頭一つ分長い影が、彼の視界をサッと横切った。
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