LAST EDEN‐楽園のこども‐
「まぁ待てよ」


「頼知」


あの日以来の再会。


頼知は涼の目の前に立つと、優雅な素振りで首を振る。


「どうせ勘違いしてんだろうけど、俺たちは無実だぜ」


「どういうことだ」


頼知はチラッとミウを一瞥すると、もう一度思わせぶりに涼に視線を戻した。


「気になるのか?」


それは、まるで試すような響きを含んだ口調だった。


「だったら、本人に聞いてみろよ。実際俺たちも、さっき会ったばかりで、詳しいことなんて何一つ知らねーんだ」


そして頼知は、退廃的な美しさと底意地の悪そうな闇を映した瞳に笑みを滲ませる。


勿論、他人においそれと説明できる事情ではなかったのも事実である。


だが頼知は、それとは別の思惑が自分にあったことを否定しようとは思わない。


数年前とは別人のように変わってしまった涼が、どういう反応をするのか。


「よそ者」とクラスメートから外されていた自分に、温かい手を差し伸べてくれたあの頃の優しい涼の面影が、少しでも残っているのかどうか。


頼知はただ、ミウの存在を引き合いに、そのことを知りたかったのである。


だが。
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