LAST EDEN‐楽園のこども‐

けれど、その思いを湧き上がってきたと同時に押さえ込むと、それに、と呟いて、涼は眩しそうに夕日の当たった橋の上を見上げた。


「おまけにここは、おあつらえ向きに橋の下だ。川底は、落ちれば水を飲むぐらいじゃすまない程度に深い。となれば、何があったかなんて、バカじゃない限り誰でもわかる」


歯に衣かぶせないストレートな言葉に、その場にいた全員がハラハラしながらミウを見守る中、那智がピュウッと尻上がりの口笛を吹いた。


「ご名答」


長い金髪の髪をかき上げながら苦笑する。


そして図星をつかれて頬を赤くしたミウを見やると、見透かしたように意地悪く笑う。


「あんたさ、他人に見つかりたくなきゃ、こんな人通りの多い場所選ぶなよ」


その顔は、心の底では誰かに助けて欲しがっていたミウの本心を軽蔑するように冷たく、しかしその瞳は逆に、そこまで追いつめられてしまったミウを労わるように優しかった。