LAST EDEN‐楽園のこども‐
ミウの姿に、自分の姿が重なる。


まだ髪が長かった頃の自分が、そこにはいた。


寒さに震えて膝を抱えることしかできなかった頃の自分が、そこにいるようだった。


もっと喜べよ。


嬉しそうな顔しろよ。


被害者面してないで、自分がどれだけ恵まれてるのか、ちゃんと目を開けてしっかり見ろよ。


羨ましいのは、自分のことのように怒ってくれる人間がいることか。


それともこんなにも惨めに、けれど正直に、心の底から悲鳴を上げられる人間らしさだろうか。


だけど、あたしにはいなかったんだぜ、こんな奴。


こんな風に怒ってくれる奴は、どこにもいなかった。


いるなんて初めから思ってもいやしなかったけど、それでも手を差し伸べようとする奴なんて、一人もいなかった―――――――――。
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