LAST EDEN‐楽園のこども‐
噂に聞いていた涼は、反抗的な生徒で、クラスの誰ともつるまない、いわゆる変わり者だった。


下手に人目を惹く容姿だったことも影響しているのだろう。


大きな黒い瞳が印象的な外見は、自分の意思とは無関係に冷たい印象を与えてしまうことを、涼は知らない。


口数も少なく、愛想笑いを浮かべる社交性もなく、常に一人でいる姿は、周囲からは気取っていると受け取られてしまっても仕方がないのかもしれない。


無論、涼は故意にそうしているのである。もちろん、反感を買うつもりではなく、かたい意思によって。


けれど、人の心を読める者はいないのだ。


涼にいかなる理由があったとしても、友達の一人もいない人間に対し、好意的な態度を取る生徒はいなかった。


教師も同様である。


従順さを素直だとする教師にとって、何を考えているのかまったく読めない涼の存在は、そういう意味では「扱いにくい」で統一され、ひいては敬遠という形に収まるのは当然とも言えた。


だから、ますます涼は孤立していたし、そのイメージは、勝手な人間の想像力によって悪い方へと膨らんでいく。
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