LAST EDEN‐楽園のこども‐
「昔は、もっと明るいやつだったと思うんだけど」


頼知は、涼しげな目元に一筋の憂いの影をのぞかせて涼を見つめた。


「悩みがあるなら、聞くし。俺でよければ、何でも言えよ」


それは、頼知が初めて見せた、異性へのやさしさだった。


それなのに。


「何だそれ」


涼は、心の底から憎々しげに口元を歪めた。


「いい年して、友達ごっこ? 気持ち悪いんだよ」


「な……に」


頼知は、まるで砲丸をぶつけられたような鈍い痛みを感じた。


涼は、そんな頼知を無視して、不快そうに肩をすくめて続けた。


「さっきから聞いてりゃ、わけのわかんねーことばっかり。あのさ、昔話するほど退屈してんなら、山登りでもしてくれば?」


「昔話?」


「不毛って言うんだよ、そういうの。何も生み出さないっつーの」
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