LAST EDEN‐楽園のこども‐
それから徐々にクラスの輪に溶け込んでいく頼知を見て、ホッとしたように微笑んだ涼の顔は、とても可愛くて幸せそうだった。


クラスどころか、学年でも一番背の低かった涼は、その小さな体とは裏腹に、中々のしっかり者のようだった。


学級委員を二年にわたって務め上げてきたというだけあって、クラスメートの信頼も厚ければ、面倒見の良さも人一倍。


小柄で愛らしい外見のせいもあるだろうが、いつもニコニコと笑顔を浮かべている彼女が他人から好かれるのは、当然のように思えた。


そういう少女だったのだ。


困っている人間がいれば手を貸してやり、泣いている友達がいれば一緒に泣くような、優しい少女だったのだ。


それが、いつの間に人の噂に上るような人間になってしまったのかと、頼知はずっと不思議でならなかった。


どれだけ大勢の人間が涼を悪だと言っても、頼知だけは断じてそうではないと思っていた。
< 34 / 134 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop