LAST EDEN‐楽園のこども‐
だが、涼の口から発せられた言葉は、そんな頼知の思い出に呆気なく終止符を打つ。


「男のお節介ほど、見苦しいもんはないぜ。それとも、単なる詮索好きなのかよ」


頼知は、思わず自分の耳を疑った。


皮肉と呼ぶには、強烈すぎる敵意。


自分を見つめる瞳に浮かぶ、はっきりとした拒絶。


聞き間違いであれば、と思う。悪い夢を見たのだろうと。


現実主義者の彼にしては珍しくそんなことまで思う。


けれど、邪魔だと言わんばかりの態度に、頼知の感情が凍りつく。


冷めた瞳が、夢ではないことをはっきりと告げる。


それは、記憶の中にいた涼が弾けた瞬間でもあった。
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