LAST EDEN‐楽園のこども‐
厄日か今日は。


頼知の後姿を眺めながら、涼は小さく吐息をつく。


担任に、和樹に頼知。


いつもなら誰とも口をきかずにいられる自分が、今日に限って三人もの人間と喋ってしまった。


しかも、そのうち二人は、自分の生活にはまったく縁もゆかりもない、完璧な通りすがりである。


涼は大きな疲労感を感じて、誰に問いかけるでもなく口を開く。


「何が、そうさせたのか、ねぇ」


頼知の言葉を繰り返す。


「理由――――――?」


そして涼は、睫を伏せて小さく笑う。


「肩の力を抜いただけだよ」
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