LAST EDEN‐楽園のこども‐

それぞれの胸中

和樹はゆうべ、あまりよく眠れなかった。


それと言うのも、涼のことが気になって仕方がなかったせいだ。


だから今日は、眠気を堪えて少しでも涼のことを知りたいところだったのだが、和樹のいる課は英才コースと言って、多くは初等部から、運動、芸術、音楽など、一芸に秀でた生徒ばかりを集めた特殊なクラスになっている。


よって、周囲の誰に訊ねようとも、普通科コースの涼の詳細を知っているとは思えない。


「あー、すっきりしないぜ」


しかし、そのとき和樹は、ふとあることを思い出す。


外部から転入してきた頼知は確か、初めは普通科コース在籍だったはずだ。


もしかしたら、詳しい話を耳にしたこともあるかもしれない。


思い立ったが吉日とは、和樹のモットーである。


ガタッと勢い良く席を立つと、即座に窓際の後方へ向かい、惰眠を貪っている頼知に声をかけて、その眠りを妨げる。


「なー頼知ー」


「……」


「なー、頼知ってばよー」


執拗な和樹の揺り起こしに、頼知はイラついたように顔を上げた。


「うるせーな、なんだよ!」
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