LAST EDEN‐楽園のこども‐
黙ったままの涼に苛立つように、担任はチッと舌打ちをして見せる。


「もういい、お前みたいな奴は、勝手にしろ! いつまでもガキみたいに反抗ばかりして、大人をなめるんじゃない!!」


反抗?


涼は首を傾げる。そして、思う。


別に反抗したいわけじゃない、と。


逆らう気なんて、これっぽっちもありゃしない。


ただ、他のみんなと同じように、あんたの言葉一つで右を向いたり、左を向いたりしないだけだ。


あんたの言ってることの意味がわからないから、従わないだけだ。


だが、目の前のオトナに自分の言い分が通用しないこともわかっている。


だから、涼は口をつぐむのだ。


初めから聞く耳すら持たない相手に言葉を預けることが、どれだけ無意味なことなのか。


どれだけ愚かなことなのか、わかっているから言わないのだ。


決して逆らうつもりがあるわけでも、何が気に入らないわけでもない。
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