LAST EDEN‐楽園のこども‐
お前ねぇ……。
親友の額を、思い切り指で弾いてやりたい衝動に駆られながら、那智は妙案を思いついたようににんまりと唇の端を上げた。
「説教なら、そいつにしてやれよ。そいつ、そういうの大好きだから」
ギョッとしたのは涼である。
いきなり引き合いに出された彼女は、冷や汗が噴き出す思いで那智を睨んだ。
行くなら黙って行け、厄介ごとを人に押し付けるな。
そう言いかけた涼は、龍堂の只ならない気配を察知して、慌てて口をつぐむ。
「じゃーな」
一人だけ難を逃れた那智の後ろ姿を眺めながら、龍堂は不愉快極まりないといったように顔をしかめた。
「何だあの小娘は」
時代錯誤も甚だしい物言いに、涼は思わず、お前もガキだろうと言ってしまいそうになる。
「あんたにゃ一生かんけーないタイプの人間さ」
なるべく言葉を選んでそう言うと、涼は喉に込みあがる失笑をかみ殺した。
しかし、恐らく神経の太い龍堂は、憮然とした風情で、心から非難するような視線を涼に送ったかと思うと、嘆かわしいと言わんばかりに大きく息を吐いた。
「髪を金色などにしおって……雨宮、お前は良くない噂が立つと思っていたら、あのような素行不良の輩と付き合っていたのか」
親友の額を、思い切り指で弾いてやりたい衝動に駆られながら、那智は妙案を思いついたようににんまりと唇の端を上げた。
「説教なら、そいつにしてやれよ。そいつ、そういうの大好きだから」
ギョッとしたのは涼である。
いきなり引き合いに出された彼女は、冷や汗が噴き出す思いで那智を睨んだ。
行くなら黙って行け、厄介ごとを人に押し付けるな。
そう言いかけた涼は、龍堂の只ならない気配を察知して、慌てて口をつぐむ。
「じゃーな」
一人だけ難を逃れた那智の後ろ姿を眺めながら、龍堂は不愉快極まりないといったように顔をしかめた。
「何だあの小娘は」
時代錯誤も甚だしい物言いに、涼は思わず、お前もガキだろうと言ってしまいそうになる。
「あんたにゃ一生かんけーないタイプの人間さ」
なるべく言葉を選んでそう言うと、涼は喉に込みあがる失笑をかみ殺した。
しかし、恐らく神経の太い龍堂は、憮然とした風情で、心から非難するような視線を涼に送ったかと思うと、嘆かわしいと言わんばかりに大きく息を吐いた。
「髪を金色などにしおって……雨宮、お前は良くない噂が立つと思っていたら、あのような素行不良の輩と付き合っていたのか」