LAST EDEN‐楽園のこども‐
どちらが非常識だと言うのだろう。


名門青蘭の生徒が、何たる失態、何たる恥知らず。


初対面の人間に恥ずかしげもなく言ってしまえる龍堂は、自信に漲(みなぎ)る瞳を凛と輝かせて、押し付けるように言い放った。


「今後一切、あのような者とは付き合うべきではない。早々に手を切れ。それが、お前の為とも言うものだ。わかったな」


見知らぬ人間にいきなりこんなことを言われれば、少なからずカチンとくるだろう。


しかし、涼は立腹したような素振りもなければ、何かを言い返すわけでもない。


涼は羨ましいと思ったのだ。


他人に対する侮蔑や非難を、これだけ素直に表現できる無神経さを。
恐らく挫折したことが無いのだろう。


もしかしたら、他人に傷つけられたことすら無いのかもしれない。


自分の正義を恥ずかしげも無く振りかざせるのは、その証拠だと思えた。
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