LAST EDEN‐楽園のこども‐
悲しい問いかけだった。


答えなど初めから期待していない、独り言のようだった。


「友達ぐらい、自分で決める」


そうキッパリと言い放った涼に、誰がそれを間違いだと言えるだろう。


「自分が迷惑を被ることになってもか」


龍堂が訊ねる。


先ほどよりは、いくらか和らいだ口調で。


目の前の少女が、噂どおりの問題児ではないような気がして、龍堂はさらに言葉を重ねた。


「それで、自分が傷つくことになってもか」


しかし涼は、龍堂の問いに返事もしなければ、頷きもしない。


気の短い龍堂は、焦れたように言った。


「幼子ではないのだ。もっと責任のとれる範囲の行動を取れ。先生方にご心配をおかけするような友人付き合いは、やはり関心できんな」


まるで、時代劇に登場する目付けのような口調に、学級委員長のような発言。


そのアンバランスさをせせら笑うように、涼は龍堂を斜めに見上げた。


「じゃあ、あんたは大人なのかよ」


あたしもあんたも、生まれてたかだか十数年じゃないか。


龍堂は一瞬ムッとした顔をしたが、確かにその通りなので、即座に反論できない。


言葉を躊躇していると、やがて涼がつまらなそうに呟いた。
< 55 / 134 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop