LAST EDEN‐楽園のこども‐
昔の話に居心地が悪いのか、それとも単に興味が無いのか。


涼は話を中断させると、那智の眼を覗き込んで、その眼光に力を込めた。


「そろそろ、あたしをわざわざここに呼び出した理由を言え」


那智は溜息をつく。


「お前とは、のんびり話もできねーな。狭い日本、そんなに急いでどこに行くって言うんだ、そーゆーのを」


昭和の流行文句を口にした那智だったが、冗談のわからない涼に、キッパリ引導を渡されるはめになる。


「お前の使えない教養はいい」


「……ほんっとに可愛げがないね、お前は」


ノリの悪い友人に那智は再び息を吐くと、それから妙にしんみりとした口調で呟いた。


「お前に、どうしても言っておきたいことがあってさ」


「なんだよ」


涼は眉根をひそめる。


「もったいぶってないで、さっさと言えよ。これでもあたしゃ、忙しいんだ」
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