LAST EDEN‐楽園のこども‐
恐らく、進退に関する話だろうと思う。
その時期が来たら聞いてやろうと思っていた涼は、那智が口を開くのを待つ。
ムードを大切にする親友に、いちおうは気を遣ってやったのである。
涼が珍しく気遣いを見せたのを知って、那智はクスリと笑う。
そして、おもむろに口を開くと、目を細めて遠くを見やる。
「そろそろ、身を引こうと思ってんのさ」
その言葉を聞いたとき、涼の胸の奥が、ドキン、とかすかに音を立てたような気がした。
「へぇ」
涼は、皮肉気に口元を歪ませてみた。
「そりゃ、思い切った決断だな」
動揺している自分を隠すように笑ってみせるが、うまく笑えない。
那智が夜の街から消える。
それは、涼にとっても、とても容易に思い描けることではなかった。
「理由を言えよ」
「理由なんかねーよ」
呟くように答えて、那智は窓の外に視線を向けた。
その時期が来たら聞いてやろうと思っていた涼は、那智が口を開くのを待つ。
ムードを大切にする親友に、いちおうは気を遣ってやったのである。
涼が珍しく気遣いを見せたのを知って、那智はクスリと笑う。
そして、おもむろに口を開くと、目を細めて遠くを見やる。
「そろそろ、身を引こうと思ってんのさ」
その言葉を聞いたとき、涼の胸の奥が、ドキン、とかすかに音を立てたような気がした。
「へぇ」
涼は、皮肉気に口元を歪ませてみた。
「そりゃ、思い切った決断だな」
動揺している自分を隠すように笑ってみせるが、うまく笑えない。
那智が夜の街から消える。
それは、涼にとっても、とても容易に思い描けることではなかった。
「理由を言えよ」
「理由なんかねーよ」
呟くように答えて、那智は窓の外に視線を向けた。