LAST EDEN‐楽園のこども‐
「三年だぜ」


視線の先には、眩いネオンライト。


そして、何時になっても切れることのない人波。


黒服の人間が多数ひしめくこの街のいつもの風景を眺めながら、那智は愛おしそうに呟いた。


「三年、あたしはこの街にいたんだ」


それから感慨深げに睫を伏せると、自分の掌に視線を移す。


太くなった指の関節と厚くなった手の皮に、三年間の思い出が刻まれていた。


「バカな奴らが、この街で堕ちていく様ってのを、ずっと見てきた。甘い誘いに足元すくわれてダメになっていく奴とか、他人の弱みにつけこんでのし上がっていく奴とか、人間の裏の部分ってやつを、全部見てきた」
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