LAST EDEN‐楽園のこども‐
人間には、色んなタイプがいる。


大人しいタイプもいれば、騒がしいのが好きなタイプもいる。


真面目に人生を謳歌する人間もいれば、ずる賢く生き抜いていく奴もいる。


そして、涼や那智のように、どうしてもアウトローな世界へ堕ちてくる人間がいることは、抗いようのない真実だった。


光があるところには、影が生まれる。


決して自分で望んで影になったわけではない。


大切なのは、自分の境遇を嘆いて立ち止まるか、道を切り開く力を養うことだと、那智はいつも言っていた。


しかし、タイプの違う人間同士が集まるほど、問題も増え、揉め事も起きるのは当然の摂理である。


特に、我が強く、心に傷を持った人間ばかりが集まるこの界隈では、夜ごとひっきりなしにもめ事が頻発する。


従って、それらを取り仕切る人間というのが、否応なしに必要になり、力のある人間が、自動的にそこに納まる。


誰が決めたわけでもない。


自分で率先したわけでもない。


だが、この三年の間に、那智は、歌舞伎町に集まる非行少女たちをまとめ、面倒を見る存在になっていた。
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