LAST EDEN‐楽園のこども‐
涼は片目を細めて、ひどく苛立だしげに舌打ちをしてみせた。


「了解も取らねーで、何が協力だよ。笑わせんじゃねぇ」


小さな涼の全身から激しい怒りがほとばしり、真斗はその迫力に気おされたように後ずさる。


「だって、追われてたからさ。試合で俺に負けた奴がさ、バスケができなくなったとか言って逆恨みして、待ち伏せてたんだってば。そんなの、捕まったらヤバいじゃん」


「バスケ?」


涼が聞き返す。


真斗は、参ったというように吐息混じりに事の次第を口にした。


「ちょっとラフなプレイでさ、怪我したんだって。大げさなんだよ。俺のせいだーとか言っちゃってさ。こんなでっかい傷痕まで見せられて、お前も同じにしてやる、って。冗談じゃないよね」


そして真斗は、馬鹿にしたような顔をして、呆れたように笑う。


「だいたい、バスケができなくなったぐらい、長い人生で考えたらどうってことないじゃん。それを世界の終わりみたいに深刻な顔して、いい迷惑だよね。こっちは無関係だっていうのに」
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