LAST EDEN‐楽園のこども‐
2 愛を叫ぶこども

少女ミウ

人間の社会には、陽の当たる明るい場所もあれば、陽が当たらず影になる部分も必ずある。


勝者がいれば、敗者がいる。


支配する強い者がいれば、支配され虐げられる弱い立場の人間が、必ず存在する。


人間が感情を持った生き物である以上、それは仕方のない歪みなのだろうか。


弱い者を見れば、優越感が生まれる。


必要もないのに、順番をつける。


自分はこいつよりも上だと、自分の方が強いのだと、見下す心が生まれる。


人間が、人間であるがゆえの歪み。


生きる本能の他に感情を持ち合わせた生き物だけが作り出す、残忍で愚かしい歪み。


青蘭中学3年A組の少女ミウは、歪んだ人間世界の仕組みの中で、まさしく弱者に属する人間だった。
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