LAST EDEN‐楽園のこども‐
「泣いてんじゃねーよクズ!」


泣けば泣いたで、彼らの過虐心を煽ってしまうだけだった。


だからミウはギュッと眼をつぶり、唇を強くかみ締める。


与えられる痛みに、必死に耐える。


それが、ショーが早く終了する唯一の方法だと、知っていたからだ。


泣いて痛みを訴えれば、観客は興奮する。


興奮した彼らは、集団心理に守られて、さらに酷い欲求に身を捩じらせる。


だからミウは耐えた。


この身に与えられる物理的な痛みと、精神的な苦痛に、ひたすら耐えた。


できるだけ早く彼らの関心が自分から離れるように、授業の予鈴がなるようにと。


聞こえない声で、見えない神に、小さな少女は全身から祈りを捧げていた。
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