Sugarless -君だけがいた時間-
Chapter.3
展示会をひらくことになったんだ。見に来てくれないか?
楓からそんな電話がかかってきたのは、三年後の、風の音がうるさい夜だった。
「展示会……?」
『うん、大学の卒業祝いに、写真部の仲間でひらくんだ。そんなたいそうなモンじゃないけど』
「………」
『早紀には見に来てもらいたいんだよ』
そうつぶやいて、楓はしばらく黙った。
「……三年ぶりに連絡よこして、何を言うのかと思えば」
『ダメかな』
「だめじゃないけど。……いつ?」
明日。と楓が言ったので、私は声を出して笑った。
「なんでそんな急なの?」
『だって、急にお前に見てもらいたくなったから』
「相変わらずだね」
私たちは電話ごしに笑いあった。
笑うときに少し首をかしげて、眉を下げる彼の癖が、目の前に浮かぶような気がした。