先パイとあたし
次の日も先パイは教室へ来た。
それでも、あたしは先パイを避け続けた。
でも、先パイは諦めてはくれなかった。
その日の放課後。
また教室に来た先パイを、少しも気にすることなく教室をでた。
すると、あの時と...初めて会ったときと同じように、後ろから抱きしめられた。
「きゃー!!」
クラスのみんなの騒ぐ声だけが、あたしたちの重苦しい空間に流れた。
「先パイ、放してください。」
あたしは動揺しつつも、平然を装いながら言った。
「話がしたい。」
「あたしは話すことなんて何もありません。」
「悪かった。でも、嘘じゃないんだ。」
「放してください!」
あたしがそう強く言うと、先パイは体を離した。
あたしは、先パイのほうへと体を向けた。