先パイとあたし

「姫佳、頼む。信じてくれ。
お前を好きな気持ちは嘘じゃない。」

先パイはあたしの目をまっすぐ見て言った。

でも、あたしは1度も先パイのほうを見なかった。

「今さら、そんなこと信じられません。
やっぱり男なんて、みんな同じなんですね。
男が苦手なあたしが、心を開くことができたのに...。
それなのに、先パイはそれを踏みにじった。
だから、どうしても許せないんです。」

あたしは零れそうになる涙を必死で堪えながら、顔を上げて先パイの目をまっすぐに見た。

「...嘘つき。最低...。」

あたしはそれだけ言い残した。





< 102 / 280 >

この作品をシェア

pagetop