先パイとあたし
親友にまで見捨てられ、俺は完全に孤立していた。
そんな俺にも、唯一落ちつける場所があった。
それは、4階から5階へと上がる階段だった。
そこは決して人の通らない場所。
俺は毎日そこに行っていた。
辛いとき。苦しいとき。悲しいとき。寂しいとき。
俺にとってそこは、大切な場所だった。
でもある日、あいつが突然現れたんだ。
あいつは転校生だった。
みんなを盛り上げてくれるムードメーカーで。
「誰?あっ!確か、3組の波野だよね?」
誰だよ、こいつ。
「そうだけど。誰?」
「俺は4組の青河陽太。
この前、この学校に転校してきたんだ。」
「で、ここに何の用?」
俺の時間を邪魔すんなよ。