先パイとあたし

親友にまで見捨てられ、俺は完全に孤立していた。

そんな俺にも、唯一落ちつける場所があった。

それは、4階から5階へと上がる階段だった。

そこは決して人の通らない場所。

俺は毎日そこに行っていた。

辛いとき。苦しいとき。悲しいとき。寂しいとき。

俺にとってそこは、大切な場所だった。

でもある日、あいつが突然現れたんだ。

あいつは転校生だった。

みんなを盛り上げてくれるムードメーカーで。

「誰?あっ!確か、3組の波野だよね?」

誰だよ、こいつ。

「そうだけど。誰?」

「俺は4組の青河陽太。
この前、この学校に転校してきたんだ。」

「で、ここに何の用?」

俺の時間を邪魔すんなよ。





< 136 / 280 >

この作品をシェア

pagetop