先パイとあたし
昇降口を出ようとしたとき、またあの2人の姿を見つけてしまった。
陽太先パイと、沢口麻綾の。
あたしは、すぐに目を逸らした。
もう何も見たくない。
先パイのことも。
あの女のことも。
もう何も...。
晴くんは、そんなあたしに気がついたのか、わざと反対側を歩いてくれた。
あたしから、2人の姿が見えないように。
晴くんなりの優しさなんだよね。
ありがとう、晴くん。
その時。
「お前、人の女と何してんの?」