先パイとあたし

先パイが、晴くんを殴った。

「てめぇ、何考えてんだ?
いつまでもふざけたこと言ってんな。」

「フッ。これで俺も遠慮なく殴れる。」

晴くんは、そう言いながら起き上がった。

「彼女がいるのに、他の女とキスしてた奴なんかに言われたくねぇよ!」

バンッ

晴くんも殴り返した。

先パイは、一瞬にして顔色を変えた。

まるで『何で知ってるんだ』とでも言うように。

「知らないとでも思ってたのか?
姫佳だって知ってるよ。目の前で見てたんだ。
彼女に隠してるなんて、やましいことがある証拠だろ!」

晴くんは、もう1度先パイを殴った。

晴くん...やめて。

もう忘れたいの...。

本当のことなんか知らなくていい。

もう忘れていたいの。

そうじゃなきゃ、あたし...

もう先パイといられなくなる...。



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