先パイとあたし
ある日の放課後。
姫佳は、帰らずに屋上にいた。
俺は、そんな姫佳を放っておくことが出来なくて。
屋上に行った。
「姫佳。一緒に帰るか?」
平然を装いながら、俺は言った。
「どうしたの?急に。」
「別に。なんとなくだけど。」
「いいよ。帰ろ。」
俺は、姫佳と帰った。
昇降口を出ようとしたとき。
遠くに、姫佳の彼氏と、姫佳に宣戦布告してきたあの女が、一緒にいるのが見えた。
姫佳はそれを見るなり、目を逸らした。
だから俺は、何も知らないフリをしながら、姫佳の反対側に行った。
姫佳から、あの2人の姿が見えないように。