先パイとあたし
「ねぇ姫佳。
もしかして、さ...
嫌がらせされてる、の...?」
えっ...?
柚葉の突然の質問に、あたしは動揺を隠し切れなかった。
「柚葉...。」
あたしは柚葉に話してしまいそうだった。
誰かに聞いてほしくて。
少しでも楽になりたくて。
だけど出来なかった。
”このこと誰かに話したりしたらー、あんたまじで消すよ”
そう言った島田先輩の言葉が、頭をよぎったから。
あたしは怖くて...怖くて...。
ただ怖くて...。
「何言ってんの?
そんなわけないじゃん!
ありえないよ!」
無理に明るく振舞いながら、強引に笑ってそう言った。